今井産科婦人科クリニック

今井産科婦人科クリニック

TEL:0542750341

婦人科疾患disease

婦人科 疾患別説明

外陰癌

外陰に発生する、主として皮膚の癌ですが、非常に稀です。進行している場合は見れば分かります。確実な診断には生検が必要です。

外陰ヘルペス

単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus)による感染症で、初発の場合、症状(痛み、外陰潰瘍、帯下)が強く現れることがあります。抗ウイルス薬で治療します。

バルトリン腺炎、バルトリン腺膿瘍

膣入口の左右やや後方にあるバルトリン腺の感染症です。膿が溜まりバルトリン腺が腫れて3-4cm大になります。治療は、注射針で膿瘍を穿刺して膿を排出し、抗生剤の投与です。反復するバルトリン腺膿瘍に対しては、造袋術(開窓術とも)と言う、バルトリン腺膿瘍の被膜に穴(窓)を開けて、内側に膿がたまらないようにする手術があります。局所麻酔で可能な10-15分程度で済む手術で、当院でも数例実施し、術後再発はありません。

外陰のイボ

イボと思われるものには、普通の皮膚のイボと、尖圭コンジローマと呼ばれる、ヒトパピローマウイルス感染によるものがあります。尖圭コンジローマは、よく見るとカリフラワー状で、多発します。当院では以前は局所麻酔の上電気メスで焼灼していましたが、最近は、液体窒素を用いた、より痛みの少ない凍結療法を皮膚科(しずおか葵の森クリニック、女医さんです)に依頼しています。又、尖圭コンジローマに対してべセルナクリームと言う外用薬を塗布する治療法もあります。

普通の皮膚のイボは、大きいものは局所麻酔の上、切除縫合して治療します。

膣炎 カンジダ、トリコモナス

膣カンジダ症は、膣内にカンジダと言うカビ(真菌)が増殖して痒み、帯下などの症状を呈した状態です。カンジダは膣内の常在菌で、健康な人の膣内にも少数存在していますが、何らかの原因(疲労、抗生剤内服、高温多湿の環境など)でカンジダが増殖します。抗真菌剤の膣坐薬、外用薬で治療します。

膣トリコモナス感染症は、性病の一つです。帯下を顕微鏡で見れば、動いているトリコモナス原虫を認めます。フラジール内服で治療します。

細菌性膣炎(細菌性膣症)雑菌(主に大腸菌)が増殖して膣の正常菌叢が乱れている状態です。フラジール(又はクロマイ)膣錠+フラジール内服で治療します。繰り返す方は、ウオッシュレット使用をやめた方が良いと言う意見もあります。

萎縮性膣炎(=老人性膣炎)

閉経後の女性ホルモン(Estrogen, エストロジェン、ドイツ語読みだとエストロゲン)の低下欠乏による膣粘膜の荒れ、発赤、ひび割れ、帯下の増加、性交痛、出血をきたす疾患で、閉経後数年経てば誰にでも発症する可能性があります。治療は、欠乏した女性ホルモンの補充ですが、女性ホルモン投与が不適切な方もいますので総合的に判断して治療法を決めます。

子宮頸癌

子宮頸部に発生した癌です。子宮頸部細胞診が、非常に感度が良く、ごく初期の癌(或いは前癌状態)から発見が可能です。毎年(2年に1回でも)子宮癌検診を受けていれば、進行癌で発見されることはまずありません。初期なら簡単な手術で治療出来ます。子宮頸癌のほとんどは、ヒトパピローマウイルス(human papilloma virus, HPV)の持続感染によって引き起こされますので、ワクチン接種による予防が非常に有効です。(子宮頸癌ワクチン参照)

子宮頸管ポリープ

子宮頸部に生じたポリープで、膣鏡診で見れば容易に分かります。子宮癌検診の際に偶然見つかる場合と、大きくなると出血するので、出血を主訴に受診して見つかる場合があります。治療は、ペアン鉗子で簡単に切除出来ます。切除したポリープは、病理検査に提出し、癌でない事を確認します。

子宮脱

子宮が下がってきて膣外に子宮が出てくる状態を指します。大抵は膀胱瘤や直腸瘤を伴います。子宮の下端が膣内にあって膣外までは下降しない状態を子宮脱1度(子宮下垂)、膣外に出っ放しの状態を子宮脱3度、その間を子宮脱2度と言います。通常子宮脱2度以上が手術対象となります。手術方法としては従来膣式子宮全摘+膣壁縫縮+肛門挙筋縫合術が選択されていました。高齢で長時間の麻酔・手術に耐えられない方には膣閉鎖術という手術もされていました。最近では腹腔鏡下(又はロボット支援下)仙骨膣固定術(子宮を切除した後、膣をメッシュを用いて仙骨に固定する)という術式も広まりつつあります。当院では手術が出来ない為、手術可能な病院を紹介しています。手術が適さない方望まない方には膣内ペッサリーで対処可能な場合もあります。

子宮体癌

子宮体部に発生した癌で、多くは閉経後に見られます。併し、月経異常のある方や不妊の方は40歳未満でも発生することがあり、要注意です。症状は大抵不正出血です。経膣超音波で、子宮内膜の肥厚を認めることで子宮体癌を疑います。子宮内膜細胞診は、子宮頸部の細胞診とは異なり、偽陰性(癌があるのに細胞診では陰性=癌ではないと誤って判定される)が多いことが問題です。当院でも子宮体部細胞診が陰性で子宮内膜肥厚が見られた方を市内の病院に紹介して、子宮体癌が見つかった方が複数居られます。

子宮筋腫、子宮腺筋症

子宮は平滑筋という筋肉で構成されています。その筋肉細胞が増殖して瘤(塊)を形成したものが子宮筋腫です。子宮筋層内で、子宮内膜類似の組織が増殖して、筋層が分厚くなったものが子宮腺筋症と言われる疾患です。共に月経痛や過多月経或いは不妊症の原因になります。症状は、過多月経(月経量が多い)、過長月経(月経期間が長い)、月経痛、不正出血、下腹部が張る、下腹部に何かを触れる、不妊などです。無症状なら治療は不要です。

子宮筋腫の位置によるFIGO(国際産婦人科連合)分類
子宮筋腫の位置によるFIGO(国際産婦人科連合)分類の図
タイプ0 有茎性、子宮腔内
タイプ1 <50% 壁内(筋層内)
タイプ2 ≧50% 壁内(筋層内)
タイプ3 100% 壁内(筋層内)、子宮内膜に接する
タイプ4 壁内(筋層内)
タイプ5 漿膜下、≧50%壁内
タイプ6 漿膜下、<50%壁内
タイプ7 漿膜下、有茎性
子宮内膜症

子宮内膜または類似組織が本来の子宮内腔以外の場所で発育増殖して、月経痛腹痛腰痛不妊症を呈する疾患です。図に示すように骨盤やお腹の中の臓器の表面に発生するもの、卵巣内に発生して腫瘤を形成するもの(子宮内膜症性卵巣嚢胞、内容物がチョコレート様なので卵巣チョコレート嚢胞とも呼ばれます)、深部子宮内膜症と言い、表面ではなく、子宮直腸の間など深部に病変を形成するもの、などがあります。

子宮内膜ポリープ

子宮内膜にポリープを生じたものが子宮内膜ポリープです。小さいもの(1cm以下)では症状を呈することは少ないですが、大きくなると、不正出血、過多月経(月経量が多い)、過長月経(月経期間が長い)、不妊症を起こします。経膣超音波で或る程度診断可能です。治療は、子宮鏡下での切除術です。当院では実施できないので、多くは静岡厚生病院に治療を依頼しています。

卵巣腫瘍(卵巣嚢腫、卵巣癌)

卵巣は骨盤の奥深い位置にあるので、大きくならないと卵巣の腫瘍は本人には気づかれません。女性は、妊娠して3kgの赤ちゃんが子宮に宿っても大丈夫なように出来ています。これが、1kgの子宮筋腫や、直径20cmの卵巣腫瘍があっても、本人は無症状で過ごせる一因となっています。大きい卵巣腫瘍は、腹壁から触れることが出来ますが、小さいものは、経膣超音波で発見されることが多いと思われます。超音波で或る程度癌か否かを判定し、癌が疑われる場合や、大きい場合、痛みのある場合何度は市内の病院に紹介しています。

若い女性に多い卵巣腫瘍は、成熟嚢胞性奇形腫(別名皮様嚢腫、類皮嚢胞腫、腫瘍内には毛髪、皮膚成分が多いのでこういう名前で呼ばれています)、子宮内膜症性卵巣嚢腫(チョコレート嚢胞、内溶液がチョコレート状なのでこの名前がつけられました)、機能性嚢胞(真の腫瘍ではなく、排卵後や妊娠時に一時的に卵巣が腫大して一見すると腫瘍に見えるもの、時間の経過とともに縮小消失します)です。成熟嚢胞性奇形腫は待っていても縮小消失することはありません。大きいものは、破裂や捻転(どちらも激しい腹痛を起こし、通常緊急手術になります)、癌化することがありますので、3cm以上は手術対象となります。

性病(性感染症、STD=sexually transmitted disease)
クラミジア

若い人に最も多い性病です。症状は帯下が多い、性交時の出血、不正出血、腹痛などです。放置しておくと腹膜炎や不妊症を起こします。当院での治療は、ジスロマックという薬250mg4錠1回内服で、パートナーにも同じ薬を処方します。内服して2週間後に治ったかの検査をします。

淋病

頻度は多くありません、クラミジアと異なり、出血を起こすことは少ないですが、帯下が増えます。男性は尿道炎を起こし、尿道から排膿或いは尿道が痛むので、男性が淋病と判明し、パートナーの女性を後から検査したら淋病だったということがよくあります。当院での治療はロセフィン1g静注1回で、今迄全員治癒しています。注射後2週間経過して淋菌の再検査をして治ったか否かを調べます。

梅毒

頻度は多くありませんが最近増加しているとの報告があります。当院20年間で2万人受診中十数名程度です。症状は余り出ないことが多いので、血液を調べて梅毒の感染を調べます。治療はペニシリン内服又は注射です。梅毒の血液反応は、治療後も長く(10年以上)陽性になるので、治癒した後も、血液を調べると梅毒感染(+)と言われることがしばしばあります。

エイズ (AIDS)

病名はよく知られていますが、頻度は非常に少なく、当院で血液検査を受けた妊婦さん数千名中一人だけでした。治療は当院で出来ないので専門の病院を紹介します。

トリコモナス膣炎

痒いのが特徴です。膣や子宮頸部が充血して出血しやすくなります。診断は、膣分泌物を顕微鏡で見ると、トリコモナス原虫が動いているのが分かります。無症状で、子宮頸部細胞診で見つかることもあります。治療はフラジールと言う薬の1週間内服です。

不妊症

当院は、不妊症の専門機関ではありませんので明らかに治療困難な不妊症と考えられる場合(40歳以上の長期不妊の方や子宮内膜症、子宮腺筋症など明らかに子宮や卵巣に異常が疑われる方)は最初から不妊症専門の医院を紹介します。日本では、個人の不妊専門クリニックの方が、総合病院より治療法が進んでおります。静岡市内だと、俵IVFクリニック、菊池レディースクリニック、県立美術館前IVFクリニック、静岡レディースクリニックなどを紹介します。当院では、精液検査、排卵の有無、排卵誘発、タイミング指導、卵管通過性検査(子宮卵管造影、主に静岡厚生病院に検査依頼)、人工授精まで実施しています。(別図参照)

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更年期障害

40代後半から50代前半、ちょうど閉経前後で、女性ホルモンEstrogen(エストロジェン、ドイツ語読みだとエストロゲン)が低下することによる全身の体調不良です。併しこの年代の方は、更年期症状と同じような症状を起こす他の疾患を有することも多いので、安易に更年期障害と診断するのは危険です。自分で更年期障害と考えて当院を受診された方の中には、白血病と判明した方もおられました。他に、貧血、甲状腺疾患、うつ病不眠症など精神科疾患の場合もあります。更年期障害の問診票を記入して頂き、どんな症状が一番辛いのかで適する薬剤を選択します。大雑把にいうと、治療法は、ホルモン補充療法(HRT, hormone replacement therapy) と漢方療法に大別されます。ホルモン補充療法は火照り(hot flush)、発汗、不眠に有効で、他の様々な症状には、漢方療法が有効と報告されています。

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